エンジニアが UX 検定(基礎)を受けてみた話

作成日: 2026-08-07 /

はじめに

2026年7月に UX 検定(基礎)を受験し、晴れて合格しました。記憶が新しいうちに振り返りたく、この記事では合格までの体験記を綴ります。

試験を通じて、UX への考え方が大きく変わりました。受験前は、センスや才能のある人だけが UX を作れるものだと思っていたり、使いやすさは人によって千差万別で収拾がつかないなど、学ぶべきだとは思いつつハードルを感じていました。しかし実際に学んでみると、理論・プロセス・考え方のいずれも後天的に習得できるものばかりだと気づきました。この記事では、試験対策として取り組んだ勉強法だけでなく、学びを通じて変化した UX への見方についても書いていきます。UI/UX に力を入れたいエンジニアや、試験に興味のある方の参考になれば幸いです。

試験の概要

UX 検定基礎は、UX を学び始めた人が UX 向上の取組みに向けたマインドセットと基礎スキルを学ぶことができる資格です。

  • 受験料:税込10,890円
  • 試験時間:100分
  • 問題数:100問
  • 実施方式:オンライン(自宅受験)
  • 学習推薦図書:4冊

※ 次の開催日程や学習推薦図書などの詳細は、下記公式サイトをご確認ください。

一般社団法人 UXインテリジェンス協会

一般社団法人 UXインテリジェンス協会

https://www.uxia.or.jp

一般社団法人 UXインテリジェンス協会

なぜ受験しようと思ったか

以前の現場でデザイナーが何人か受験・合格したと聞いたことがきっかけです。これまで UX の考案やデザイン業務を担当した経験はなく、モバイルと Web のフロント開発を専門にしてきた身としては、新たな強みへの期待とキャリアアップを兼ねて受験を決めました。

また、普段の業務では決められたデザインを実装するだけでなく、企画側やデザイナーとの議論にも加われるようになりたいという気持ちもありました。個人でアプリを開発するうえでも、「使いやすい」かどうかを自分で判断できる基準を持ちたいと思っていました。

勉強方法

シンプルに言えば、課題図書を読んでシラバスにある語彙の意味を把握することが基本的な勉強法です。

試験の 2 ヶ月前から勉強を始めましたが、4 冊の課題図書をそれぞれじっくり読み、要約を作るだけの時間的リソースを確保できるか不安でした。そこで、試験勉強に AI を取り入れて効率化できないかと考え、Gemini Notebook(旧 NotebookLM)を活用しました。

Gemini Notebook | AI リサーチツール&思考パートナー

Gemini Notebook | AI リサーチツール&思考パートナー

https://notebooklm.google

Gemini Notebook | AI リサーチツール&思考パートナー

Gemini Notebook とは、PDF・Google ドキュメント・YouTube 動画などの特定ソースをアップロードすると、AI が要約や質問への回答を行ってくれるサービスです。課題図書の PDF をアップロードし、各章やセクションの要約を聞きながら、わからない点は掘り下げて聞くというスタイルで学習を進めました。AI 自身が関連する質問を提案してくれることもあり、インプットのハードルが格段に下がりました。

試験を受けてみて

冒頭に貼った結果の通り、ギリギリ合格点といった次第でした。100 問を 100 分で解く構成なので、1 問に 1 分以上かけると時間が足りなくなります。見切りをつける基準をあらかじめ決めておくと、本番で慌てずに済むでしょう。自信のない問題にはフラグをつけられるため、あとで見返すことができます。

対策としては、語彙やその定義を覚えるだけでなく、それぞれの特徴や背景にある理由まで理解しておくことが重要です。特に、語彙を別の言い方で問われるケースが多い印象でした。過去問が公開されていないため、問題の傾向をつかめないまま本番を迎えることになりますが、どんな問われ方をしても答えられるよう網羅的に内容を整理していくのがいちばんの対策かもしれません。(なお、試験終了後もどの問題が誤りだったかは公表されないため、問題の流出を徹底して防いでいる印象です。)

合格して、肝心の UX への理解が深まったかというと、即効性のあるテクニックを習得したというよりも、UX とは何かを広く学ぶことができました。小手先の改善よりも、仮説・実装・検証のサイクルを繰り返し、地道に改善を続けることの重要性が、課題図書を通じて何度も説かれていました。ユーザーの行動の理由は心理的なものではなく、その人が置かれた「状況・文脈(外部環境)」との因果関係にある、行動の理由を聞くときに「なぜ」を使うのはアンチパターンである、といった知見も印象的でした。モノを売って終わりの「バリューチェーン型」から、顧客の成功に寄り添い続ける「バリュージャーニー型」への転換が求められる今だからこそ、改善し続けること自体が UX をつくることだと学びました。

これから受ける人に向けて

「UX はとっつきにくい、難しそう」と感じているなら、受験前の自分と同じ気持ちだと思います。しかし、正解がなく抽象度が高いからこそ、一つひとつ理解を積み上げることで最後までやり切ることができました。UX 検定基礎は、知識を完璧に覚えているかを問う試験ではなく、UX をどう考えるか、その前提を理解しているかを確認する試験だと感じています。完璧を目指しすぎず、わからないところをその都度調べながら進めるだけでも、十分意味のある学びになるはずです。

この記事が、UX 検定を受けるか迷っている方の一つの参考になれば幸いです。